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なんとその場でズボンをはくのをやめて、勲のケツを凝視する(もちろんギャグでだ)俺に恨めしそうな目を向けながら、振り返り振り返りしつつ向かった洗面所で、どういうわけだかコンチクショー。勲はGパンをはいてきた。

「なんでだ」と拗ねる俺をナチュラルに無視して、勲は歯ブラシを咥えてる。
さっき穿くはずだったズボンは床で丸まっていた。
歯ブラシを咥えたまま(口の端に沫がついている)テレビをつけて落ち着き無くチャンネルを一周まわしたかと思うと、そのままプツンとテレビを切って、再び洗面所に戻っていく。
あーあまったく。素無視も丸まったズボンもその他もろもろの行動も全てが、まいっちまうな、可愛いよホントに。
ソファーに座り煙草に火をつけニヤニヤしていると、さっぱりした顔で勲が戻ってきた。

「なんだよご機嫌だなトシ」

冗談を言って勲は俺の隣に座った。
断りも無しに手が伸びてきて煙草が1本さらわれた。

「そんな筈ねーよ。誰かさんお願い聞いてくんねーし」

「誰だろうなー酷い奴だな。ところでトシ君お願いってなーに?」
「生脚」

ブッ。

ゴホゴホ

勲のリアクションはいつだって俺を幸せにしてくれた。

「似合ってんじゃん。ジーパン。始めて見たな」

「だろ?コレはいて「なんじゃこりゃー」って死ぬのに憧れてっからな」

むせながら勲は笑い、キスしたくなる笑顔でそう答えた。

「古ィよ。それに・・・」

「それに?]

「冗談でも止めろよ。そんなの」

「?」

「死ぬとかそういうの。せめて死ぬなら俺の腕の中にしてくれ」

「・・・」



いつもならここで突っ込む筈の勲は乗ってこなかった。
かわりに沈黙があって、

胸に顔を摺り寄せられた。


「い、いい勲!!」

これって誘われてるんだろうか。と勘違いして良いに間違いない、勲史上最も大胆なモーションをかけられて俺は少し動揺した。

「勲」

もう一度名を呼んで抱きしめると笑われた。

「なっ」

「悪ィ。前から思ってたんだけどトシって面白いな~」

「は?」

「いやさ、この話して死ぬとか言うなって言われたの初めてだったからな」

そりゃ愛のなせる業ってやつですよ。

「笑うな、マジだぜ。っつーかそんなシチュエーションになんねぇか」


口だけで笑って勲の方を見ると、勲が一瞬真剣な目をする。

「いやそーでもねーんだよな」



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