隣を見ると近藤が笑っていた。
全身で―――
胸の奥がキュッと熱くなって、柄にもなく少しドキドキして、こんなゴリラにときめくだなんて笑っちまうと自嘲して、それでいて呆然と見とれたりして、
「あ゛~クソっ・・・平和だナァ」
自然について出た言葉に、近藤が黙って同意する。
幸せとかいうものを感じてしまった。
朝、いつもの原チャで近藤を迎えに行った。
「アイツ明日非番だわ」と妙が呟いていたのを聞いていたから、アイツがストーキング行為に及ぶ前に、同じく非番の誰かに捕まる前に、彼の一日を占有したくて。
ちょうど門をでようとした近藤をとっ捕まえて、
「付き合えよ」
というと嫌がられた。
「いいだろたまには。まぁ乗れって」
「どういう風の吹き回しだ銀時?僕は今からお妙さんに会いに行くんですぅ。第一警察は原チャに二人乗りなんてしません」
「男がつべこべ言ってんじゃねー。男なら黙って熱く友情を取れ」
格好よく、男らしく宣言すると、「なんだよそれ」と近藤が笑った。
「いいから早くしろよ」
「ったく、しゃあねぇな~。じゃ、車借りてくるから待ってろ」
「車?嫌だぜ白黒」
「贅沢言うなよなぁー」
渋々といった態度で近藤は屯所に戻り、5分後に隊士の誰かに借りたのだろう原チャを引きずって帰ってきた。
「お前ソレ乗れんの?」
「馬鹿にするな。乗れます原チャぐらい。スッゲー久しぶりだけど」
「ふーん」
ニヤリと笑って見せると近藤が嫌そうな顔をした。
退屈しなくて済みそうだ。と思い、準備をしている近藤をおいて出発した。
「あ、万事屋の旦那・・・っつゥーか近藤さんっ?!」
後方からエンジン音共に、聞きなれた声の上擦った叫びが聞こえてきて、嬉しくなった。
乗り気じゃなかった筈の近藤は、(それなりに)風を感じて市街地の端っこまで来たときにはすっかりその気になっていた。途中で贔屓の団子屋を紹介し、団子を買わせて、なんとなく二人して遠足気分だ。
「バナナはおやつにはいりますけど近藤君好物でしょ?」
「うるせー」
近藤が
「春を感じに行こうぜ」
と言ったので、この季節には菜の花が綺麗な絶好の昼寝スポットにむかった。
菜の花が視界でそよぐ景色の中で、青い空を見上げて、下らなくて他愛ない話を沢山した。
話が神楽と新八の喧嘩の話になって、沖田と土方のガキの頃の話になって、また神楽と新八と俺の話に戻った時、愛しそうに瞳を輝かせながら、近藤が笑った。
全身で―――
胸の奥がキュッと熱くなって、柄にもなく少しドキドキして、こんなゴリラにときめくだなんて笑っちまうと自嘲して、それでいて呆然と見とれたりして、
「あ゛~クソっ・・・平和だナァ」
自然について出た言葉に、近藤が黙って同意する。
幸せとかいうものを感じてしまった
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